季節による食事管理

犬のための季節ごとの食事管理

犬にとって最も快適な気温はそれぞれの犬種によって違います。
体を覆う毛の密度や長さ、皮下脂肪の量などにより異なってきます。
長毛犬でだいたい15度〜20度、短毛犬で20度〜25度ぐらいでしょう。日本の気候でいうと、関東地方の3月から5月の春先と9月から11月ごろの気候になります。
ただこれも犬種による違いが大きく、寒冷地が原産の犬種ではマイナス15度でも耐えることができるなどさまざまです。

 

一般的にな犬種の場合では、冬と夏においては食事にひと工夫が必要となります。

 

夏の食事管理

日本の夏は、気温が上昇し、さらに湿度も高いため人間にとっても体力を奪われる季節です。
犬にとってももちろん同じことが言えます。

 

人は汗をかき、汗が蒸発するときの気化熱が体の熱を奪うことで体温調節をしています。
犬はどのようにしているのでしょうか。
犬は汗をかくことができません。まったくないのではありませんが、肉球と指の間から少しだけ汗が出るだけです。これだけでは、汗による体温調整はできないのと同じなのです。
暑いときに犬は、口を開いて舌をだらりと垂らし、早い呼吸をします。これにより口内や舌に付着している水分を蒸発させることで、熱を発散させます。
この動作をパンチングといいます。

 

パンチング動作は、非常に速い呼吸を行うので多くのエネルギーを必要とします。犬の大きさなどによりパンチング回数は違いますが、高温多湿の環境では、エネルギーと水分が充分に必要となってくるのです。特に水分は大切で、血液中の水分が減少すると、体内を循環する血液量が減少してしまうので危険な状態になることもあるので注意が必要です。

 

さらに気温が上昇することで、自然と食欲も下がります。パンチング動作で多くのエネルギーが必要なうえ、食欲もさがってしまうとエネルギー切れの状態になり、所謂、夏バテの状態になってしまうのです。

 

夏バテに打ち勝つ食事管理

気温があがり湿度がたかくなる夏場には、必要とするエネルギー量が高くなるにもかかわらず、犬の食欲は低下していきます。
低下した食欲のなかで、必要エネルギーを摂取するようにすることが大切です。

 

本格的な夏場を迎える前の春先からの対策が必要となります。春先の食事は脂肪分の割合を高めにしてエネルギー濃度を若干高めにします。さらに他の栄養素が欠乏しないようにタンパク質とミネラル・ビタミンを強化していきます。

 

人間も夏バテ防止に油の乗ったウナギを食べたりしますよね。これは、エネルギー補給の意味だけではなく、タンバク質や脂溶性のビタミン類もたっぷり含んだ良質の栄養食だからです。
犬にも同様な食事管理が必要になるのです。もちろん人間用の食事は塩分を多く含みすぎるので、ウナギの蒲焼を与えることはできません。
市販されているドッグフードのなかで、高カロリーのものは、脂質とタンパク質の含有量が高いので、食欲の落ちる時期も犬は喜んで食べてくれるはずです。
春先から通常食に少しずつ混ぜていくことで、本格的な夏場を乗り切る体力をつけておく準備をしましょう。

 

水もまた大切な栄養源です。特に夏場は水の器が空になることが無いよう注意が必要です。
散歩からもどった時には、運動で上昇した体温をさげるために通常より冷たくしておくことで効果が高まります。

 

最後に夏場は食品が傷みやすい季節ですので、与えたフードは20分以内に食べきるように工夫して、残ったものは処分するようにしましょう。放置して細菌の増殖したフードによる食中毒にならないよう注意してください。

 

寒い冬に負けない食事管理

暑い夏場とは逆に気温が下がると、体表から熱が奪われ気温が7℃下がることでエネルギーの要求量は25%増しになります。
寒冷地での作業などを行う犬の場合などは、通常の2倍以上のエレルギーが必要となります。ですから、寒冷地で屋外にて活動する犬の場合はカロリー管理が必要となってきます。

 

氷点下にならない地域では通常の食事量を増やすことで対応は可能ですが、降雪地帯や寒冷地では増量のみではエネルギー不足が考えられます。
この場合も高カロリーのドッグフードを混ぜるか、脂肪分の多い牛肉や鶏肉を追加で与えるのがよいでしょう。

 

屋内で飼われている場合は通常の食事で問題ありません。